平成元年に厚生省が8020(ハチマルニイマル)運動というのを提唱しました。これは、当時の日本人の平均寿命である80歳で20本の歯を残すという活動のことです。20本の歯が残っていれば、食べ物を容易に咀嚼(そしゃく)できるとされています。この運動が始まってはや、35年、世の中は人生100年時代と言われていますが、歯を長持ちさせることは、従来以上に重要になってきています。
ご自分の歯の状態は大丈夫?どんな歯医者に行っていますか?
シニア世代の方々の子供時代、一番、儲かっている商売は何だったでしょうか?そうです、歯医者です。当時は、大人も子供も歯医者に通う人が多く、歯医者もそんなに多くなかったので、繁盛していた記憶があります。当時の子供は、戦前生まれの親に育てられ、歯磨きや歯のケアの知識も乏しく、虫歯になることはごく当たり前でした。現代の子供は、矯正で歯医者に行くことは多くても、虫歯で歯医者行くことは、我々の時代に比べかなり少なくなったと思います。
そういう自分も、子供のころから虫歯が多く、現在では、奥歯はかぶせもの、前歯は差し歯、そして奥歯には小さい入れ歯を使っています。歯医者も転勤や引っ越しのたびに変えて来ましたが、基本的にかぶせ物が取れたとか、差し歯がぐらぐらするとかの異常を感じた時、歯医者に行く感じでした。
今、住んでいる千葉県市川市に引っ越してきた直後も、かぶせ物が取れたので、近所の歯医者に行き、治療してもらいました。そこでは、かぶせもの以外にも虫歯など、いろいろと治療して頂きましたが、ちょっと変わった歯医者だったので、治療が一段落した後、別の歯医者に変えました。次に行った歯医者は、普通でしたが、自分より年配の歯医者さんだったので、今後の長い付きを考えると、若い方が良いと思い、現在は、3件目の歯医者に予約を入れたところです。
今までは、困ったときに歯医者に行く感じでした。しかし、このままの成り行きでは、マズイと思い、歯の勉強を始めてみました。
歯の寿命を伸ばすためには、何をすべきか
思い立ったら、吉日。とりあえず、図書館に行き、医療関係のコーナーで、歯の本を見ていると、1っ冊の本の表紙が目に飛び込んできました。「人生100年時代 歯を長持ちさせる鉄則(ルール)」(インプレス:魚田真弘著)です。ドンピシャのタイトルなので、さっそく借りて読んでみました。
皆さんは、歯に寿命を知っていますか?答えは約60年です、人生100年時代なら、100(人生の寿命)-60(寿命)=40と、40年のギャップがあります。この本は、その40年のギャップを埋め、生涯、噛めて、笑って、人生を楽しむためにすべき鉄則(ルール)を教えてくれます。
この本には、お口の健康を伸ばすための「健口」チェックリストというのが20あります。そのなかで私が気になったチェックポイントを紹介します。
「1回の歯磨きを5分以上していない」
1日1回しか歯磨きしていないのに、むし歯が無い人もいれば、食事ごとに歯磨きしても虫歯になる人がいるようです。むし歯は遺伝的要素のあるようですが、磨いているつもりでも、歯ブラシがちゃんと当たっていなかったり、磨く時間が少ないことが原因のようです。ここでは、毎回は出来ないとしても、就寝前の最後の歯磨きは、5分以上磨くことをお勧めしています。人間の歯は全部で32本、親知らずを抜いても28本あります。1本につき裏表を各5秒づつ、1本で10秒磨くとすれば、全部で280秒から320秒となり、合計で約5分になる計算です。裏表を5秒づつと意識して歯磨きすると、丁寧に磨けて、結果として5分以上、磨いています。皆さんも、裏表5秒づつと意識しながら歯磨きすることをおすすめします。
「3カ月から半年、定期的に歯科検診に行っていない」
私は、かぶせ物が取れた時に歯医者に行き、そこでむし歯を見つけられて、治療するという感じでした。歯医者から、定期検査のお葉書がきても、気になることが無ければ、行っていませんでした。今となっては、少々後悔しています。
一般的に定期検診は、3カ月に1度が良いとされていますが、その根拠は、歯の治療やメンテナンスを行ってから、再度プラーク・歯石が蓄積し、むし歯や歯周病のリスクが高まるサイクルが、3カ月くらいだからのようです。私は、かぶせ物、差し歯、部分入れ歯がありますので、なおさら、定期的な検診の必要性を感じています。
先程の5分歯磨きや3カ月検診は、健康オタクの妻からは、当たり前・基本のキ と言われました。しかし、その当たり前のことを知らずにいることや、知っていてもやらなかったりとするのが人間です。皆さんもその気になったら、始めることが大事と思います。あと、健康オタクの人でも、20のチェックリストのうち、知らないこともあると思いますので、今一度、歯に対する基本知識の確認をすることは無駄ではありません。
知るとためになる歯の知識
健口チェックリストの他にも、知るとためになる歯の知識が、この本には満載です。
具体的な章立てとしては、
・自分の歯をできるだけ治療せず、長持ちさせて、予防する方法
・治療した歯をできるだけ長持ちさせる方法
・歯を失ってしまってから、適切に補綴(ほてつ:入れ歯、インプラント、詰め物など失った歯を人工物で補うこと)する方法
があります。
どの章も興味深いですが、ここでは、歯と全身の関係について紹介します。歯周病菌などのお口の環境が全身に悪影響を及ぼすことが知られています。その影響は、糖尿病、大腸がん、骨粗しょう症など、多岐にわたります。
私が一番、なるほどと思ったのが「認知症」のところです。少々長いですが、引用します。
歯科と認知症にはストーリーがあります。歯を失うと噛み合わせが悪くなりやすくなります。噛み合わせが悪い方ほど、転倒や寝たきりのリスクが高いことも分かっています。
高齢者の転倒は非常に危険で、そのまま寝たきりになってしまう例も少なくありません。
一度転ぶとまた転んでしまうのではないかという不安によって動くことが減ってしまい、運動不足につながり、心身とも衰弱し寝たきりになってしまうこともあります。そして、人と会話する機会が減り、認知機能が低下してしまうことがよくあります。
これは、人生100年時代で歯を失うことの最大のリスクを表現したものと思います。若いときは感じなかったことでも、年齢を重ねるにつれ、大きな問題になる象徴的な事例です。
まとめ
歯が大切なことは頭では分かっていても、正しい知識があるかについては、自信が無い人は多いでしょう。私も「歯の本」なんて、還暦になり、生まれて初めて読んでみました。中高年になって発症する病気はともかく、子供のころから付き合っている「むし歯」というなじみ深い病気のことをここまで無知だったことに、びっくりしました。皆さんも、「歯の本」を試しに一読してみてはと思います。
本日のシニアの生きるコツ
正しい知識で、口寿命を伸ばしていこう!
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