人生100年時代 ライフシフトしてますか?

生き方

会社の訃報を見ていても、女性で90代はあたりまえ、男性でも90代が珍しくなくなった今日この頃です。先進国では2007年生まれの2人に1人が100歳を超え、日本は、なんと半分の人が107歳まで生きると予想した本がありました。そうです、ロンドン・ビジネス・スクールの教授のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの共著「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社)です。今回は、自分のライフ・シフトについて考えていきます。

3世代から見たライフ・シフトとは?自分は?子供は?

この本では、親・子・孫の3世代の3人の人生シナリオをもとに人生100年時代の生き方を考察しています。3人の登場人物は、親であるジャック(男性)は1945年生まれ、子であるジミー(男性)は1971年生まれ、孫であるジェーン(女性)は1988年生まれとしています。ちなみに、この本は日本では、2016年11月の発行です。

1945年生まれのジャックは、順風満帆の黄金世代

1945年生まれのジャックは20歳で大学を出て62歳まで働いて、当時の平均寿命の70歳でなくなったと想定しています。日本の団塊の世代(1947年~1949年生まれ)のちょっと年上ですが、皆さんも思われているように、男性は会社一筋、女性は家庭を守るのパターンがうまく働いた世代です。欧米でも、この時代は、女性の社会進出は日本とそんなに変わらないようです。

人生を語るうえで定量化できる指数は、やはり「お金」です。特に、人生100年時代、2000万円の老後資産だけで、本当に大丈夫なのか不安になっている人も多いと思います。その老後資金算出の条件として下記の前提をあげています。

1.老後の生活資金   最終所得の50%
2.長期の投資利益率  年平均3%
3.所得上昇ベース   年平均4%
4.何歳で引退したいか 65歳

ジャックの場合、62歳までしか働いていないが、70歳までの寿命を迎えるまでの8年間に必要な老後の生活資金は、20歳から62歳までの勤労期間42年で、毎年の所得の4.3%で足りていました。この世代は、勤務先の企業年金(確定給付型年金)が、厚く支給されており、最終所得の20%と想定しています。ちなみに、公的年金は10%、個人の蓄えは20%で、最終所得の50%の計算です。

この世代は、教育・仕事・引退という人生の3ステージが機能した時代に生きた人たちであり、一斉行進の生き方でした。海外でも、男は仕事、女は家庭で、男女の役割のバランスは悪いですが、「お金」的には、困らない世代だったと思います。団塊の世代が定年になった10数年前は、そこまで老後不安をマスコミが報じなかったから、やはり余裕のある世代です。

1971年生まれのジミーは、従来の人生プランがきしみはじめた

ジミーは、1971年生まれで、平均年齢をは85歳。21歳で大学を卒業し、65歳で引退するつもりでいます。この場合、勤労期間44年に対し、引退期間は20年となり、老後資金をためるためには、毎年の所得の17.2%を貯蓄する必要があります。この毎年17.2%の貯蓄率はかなり厳しい数字です。これは、父親のジャックの世代であった企業年金はなくなり、引退期間が8年から20年に伸びたためです。

このような貯蓄率では無理があるので、現実的には65歳で引退せず、仕事を続けることになります。ただし、成り行き任せでは、年を取るに従い十分な給料を受け取れる職に就くことが次第に難しくなるでしょう。最後は、収入は少なくなり、思っていたよりずっと貧しい生活をする羽目になると説いています。

本書では、従来の教育・仕事・引退の3.0シナリオのままでは、1971年生まれのジミーは望まない老後になるので、3.5シナリオと4.0シナリオを提示しています。30年も働けば、業務スキルなどの有形資産や人的ネットなどの無形資産を保有しています。3.5シナリオは保有している有形資産や無形資産を活用し、従来の仕事のプラスアルファで収入を得ることを指しており、4.0シナリオは新たな有形資産や無形資産を獲得し、リスクを覚悟し自身を変身させ、仕事につなげる生き方です。

成り行きでは行き詰まるのが見えているので、引退が近く大きな変化を好まない方はシナリオ3.5、まだまだ引退には時間があり、変化とリスクを取れる人はシナリオ4.0を目指すようになると思います。ジミーのシナリオ4.0は、45歳の時から変身の活動を開始し始めますが、起業など大きな変化を望むなら、やはり40代から準備をするべきかなと、個人的にも思います。

1988年生まれのジェーンには、従来の人生プランは全く機能しない

ジェーンは1988年生まれで、100年以上生きる可能性が高い。65歳で引退する場合、勤労期間は44年、引退期間は35年です。この35年の老後資金を賄うには、年間所得の25%を貯蓄する必要があります。実際には、この老後資金の他にも、住宅ローンの返済や子供の学費がかかるので、25%の貯蓄は不可能の近い数字です。ジェーンの場合は、65歳での引退は夢物語です。

100歳まで生きるジェーンの老後資金の前提では、おじいさんのジャックと同じ公的年金を最終所得の10%のままにしていますが、これは当てにできません。ヨーロッパでも公的年金は賦課方式で、日本ほどではありませんが、少子高齢化が進めば、公的年金の支給率の低下は避けられないようです。普通に考えれば、当たり前ですが。

ジェーンの場合、80歳までは働かなければいけなくなりそうですが、父親のジミーのように人生のあるタイミングで変身(スキルや人的ネット)をとげるシナリオ4.0でも、厳しい人生になると予想しています。ジェーンが生きる世界では、技術のさらなる進歩に従い社会や働き方が大きく変わり続けることが想定されます。今は中スキルの仕事(例えば、会社の事務・管理部門)は、業務の定型化により消滅しつつありますが、今後は、高スキル(専門職や管理職)や低スキル(車の運転など人が直接かかわる仕事)も定型化が進み、減少する可能性が高いです。そもそも60年の長い勤労期間の間、同じ仕事を続けられる人は、ほとんどいなくなるのではないでしょうか。

そこで本書では100年生きるジェーンには、シナリオ5.0を提唱しています。ここでは、大学卒業後、色々な人と出会い、人的ネットワークを広げる自分探しから始まり、起業したり会社勤めをしたり、その移行期間は、人生を豊かにする家族や友人に時間を割いたり、スキルや人的ネットワークを広げたりと、変化し続けます。最終的には、複数の仕事を自分の好きな条件でこなすポートフォリオ・ワーカーとしています。

ジェーンの場合、結婚するのですが、パートナーとは、時間とお金を融通し合い(自分が仕事を休む場合は、パートナーが稼ぐ)、柔軟的な人生を想定しています。ただし、ジェーンは、魅力的で能力の高い女性ですので、多くの人にはハードルがかなり高いと思います。

自分と自分の子供の人生100年時代とは?

還暦後、定年後の皆さんは、多分、1945年生まれのジャックと1971年生まれのジミーの間の世代と思われます。ジャックのように老後資産が十分で全く不安のない人もいれば、ジミーのようにこのままの成り行きでは、人生が詰みそうという人もいると思います。一般的には、働ける間は、働くというのが、一つの答えと思います。ジミーのシナリオ4.0のように大きな変身は年齢的に厳しいが、シナリオ3.5のように自分が保有している有形資産(スキル)や無形資産(人的ネットワーク)を活用し、自分に合った仕事をするのが現実的かもしれません。ただし、変化の大きいこの世のなか、リスキリングも必要です。

次に子供の世代はどうでしょうか。多分、1988年生まれのジェーンと同じ環境と思います。変化か激しく、一つの仕事を60年も続けられない時代に生きる彼ら彼女らは、どんな人生設計をすべきなのでしょうか。子供の世代は転職が当たり前になり、優秀な人ほど、自分探しや小さい会社での起業など、我々の世代とは働き方が大きく変わりました。子供には、老害にならない程度で、アドバイスができればなと感じています。

まとめ

人生100年時代、特に働き方へのインパクトの大きさを感じます。雇用制度、年金制度、介護制度とうとう、そのかかわり方は人それぞれですが、100年時代の人生戦略として、自分の人生をどのようにシフトしていくかは、シニア世代においても重要事項です。私はこのブログを続けながら、自分の「ライフ・シフト」について考えて、実践していきたいと思います。

本日のシニアの生きるコツ
 あなたの人生、どんなシフトを始めましたか?

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