皆さん、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、どうしていますか?納税者なら、ふるさと納税と並ぶお得な制度です。しかし、制度が複雑・分かりにくいうえ、法改正があったりで、どうすれば良いか悩んでいる方も多いと思います。なんとなく始めてみたものはいいもの、60歳になりiDeCoを受け取れる年齢になった今、今後の運用ややめ方をどうするか、私の事例も踏まえながら、考えていきたいと思います。
iDeCoのメリットとデメリットは?
まず、初めにiDeCoの概要について確認さてて下さい。iDeCoは、税制優遇を受けながら資産運用をして、自分の老後資金を形成する「私的年金」制度で、そのメリットとデメリットは以下のようなものです。
<メリット>
①掛金を全額所得控除できる(所得税と住民税合わせて15%~55%の減税効果あり)
②運用益も非課税で再投資できる(運用中の商品を売却しても、課税なく含み益で再投資できる)
③受け取るときも大きな控除がある(年金では「公的年金等控除」、一時金では「退職所得控除」の対象)
<デメリット>
①60歳まで受け取れない(加入は20歳から65歳で、受け取りは60歳から75歳)
②手数料がかかる(口座管理に手数料がかかる。NISAは0円)
③働き方によって掛け金の上限がことなる(月2万円から月6万8千円)
一番大きなメリットは、①掛金の全額所得控除でしょう。これが、一番、実感している、分かり易い節税効果だと思います。あと、③の受け取り時の控除ですが、これについては良く分からないまま、iDeCOを運用している人が多いのでないでしょうか?私も当初、NISAのように受取時も非課税と大きな勘違いをしていました。iDeCOの受け取りは税金が発生する場合があります。退職金の有り無しとか、受け取るタイミングや金額とか、所得税の仕組みとか知らないと、理解するのが難しいです。また、iDecoは受け取り方によって税負担が変わるなど、税的には不公平で問題のある制度ともいわれており、それが今後の改正にもつながるものと思います。受け取り方による税負担は、自分のケースはどうなるのかは、一度、きちんと確認したほうが良いです。
iDeCo一番のデメリットは、60歳にならないと受け取れない点ですが、60歳以上のシニアの皆さんについては、過去の問題でしょう。iDeCo制度が改悪されようが、法施行までに時間的な余裕があるので、その改正内容を確認して、アクションがとれます。シニアにとっては、受け取り方をどうするかが、一番の課題かなと思います。②の手数料については、iDeCoのメリットや運用額に比べれば微々たるものでしょう。③の掛け金の上限は、私の場合、月2万3000円ですが、掛け金を大きくするために働き方を変えるわけでなく、悩むことはないと思っていましたが、今後の改正で掛け金の上限が上がった場合、悩む人が増えるかもしれません。
今後のiDeCoは、どうなるの?
2024年12月20日に自民党と公明党が決定・公表した「税制改正大綱」ですが、iDeCoについても大幅な改正が盛り込まれており、iDeCoのルール改悪ととらえる人もいます。この改正の施行は、2026年のようなので、今のうちからその内容を理解して、今後の運用と受け取り方法をどうするか考える必要がありそうです。
大きな改正内容は
①iDeCOの掛け金アップ(月6万2000円~月7万5000円。ただし扶養配偶者は月2万3000円のまま)
②70歳未満までiDeCOの掛け金を拠出可能(現状の65歳未満に対し、5年延長)
です。
その他の改正点では、ベストセラー「さおだけ屋はなぜつぶれないか?」(光文社新書)の著者の山田真哉さんが、YouTubeで「受取時の5年ルール改悪」について説明しています。現在は、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受取れば、退職金の控除が2回分まるまる適用できるのが、改正後は70歳での退職金でないと、大増税になるそうです。私の場合、このケースに当てはまりませんが、該当する方は知らないと後悔しそうです。下のYouTubeは、現在のiDeCoの内容や今回の改正点についてコンパクトに分かり易くまとめられているので、ご視聴をおすすめします。
私の場合、iDeCoの運用はこうする(つもり)
iDeCoは年金や一時金として受け取ります(併用も可)が、退職所得控除が大きいので、一般的に一時金で受取ることが多いようです。年金での受け取りでは、総合課税としての所得に合算され、国民健康保険の場合、保険料が上がってしまうこともあり、一時金での受け取りが多い理由の一つです。iDeCoは、退職金の有り無しや、退職金とiDeCoのもらうタイミングやその金額、iDeCoの受け取り方法、国民年金や厚生年金の支給額・タイミングによって、税や社会保険料の負担は、人それぞれで、万人向けの最適解はなさそうです。私の場合、会社員で、既に退職金は頂いており、後はiDeCoだけなのですが、受け取り方法は、一時金にする予定です。年金としての受け取りは、今後の法改正で税金や社会保険料が改悪される可能性があるのと、一時金なら、一旦、税負担含めた受け取り額が確定し、生活費が足りなければ、それを取り崩したり、余剰分の一部は投資に回したりと、資金運用の選択肢が広がるからです。
私は、今のところ65歳まで会社員として働き、65歳でiDeCoを一時金で受け取る予定です。今回、税金についての詳細は省きますが、基本方針としては、以下のように考えています。
①運用期間の残りが少ないので、あるタイミングで利益確定をする
②所得税は、段階的に上がるので、運用金額の上限の目安を決めておく
③改正で掛け金が上がっても、現状維持
です。
まず、①の利益確定です。現在、外国株のインデックスファンドに全金額をいれていますが、65歳までしか運用しないつもりなので、運用額がある金額に達成したら、その半額を元本確定できる商品に振り替えます。足元、絶好調の相場ですが、リーマンショック経験者としては、あのトラウマは忘れません。
次に、②の運用金額の上限です。住民税の税率は10%で固定で、所得税は、課税所得が多くなるのにつれて、5%から最大45%まで上昇します。特に課税所得が900百万円を超えると、税率が23%から33%に大きく跳ね上がるので、そこらへんが上限かなと思っています。その時のiDeCoの運用金額は1800万円+退職所得控除額となります。そんなに増えないから大丈夫と言っても、考え方だけは押さえて方が良いと思います。今、103万円の壁が話題になっていますが、円安やインフレが進んでも、所得税の見直しが放置されないかも不安要素です。
最後に③の掛け金の現状維持です。次回の法改正で、掛け金が上昇する予定です。私の場合、現在、掛け金の上限は月2万3000円ですが、これが何と月6万2000円と大幅、増になりそうです。所得控除のメリットは魅力的ですが、仮に拠出期間が70歳まで延長されたとしても、あと、10年もありません。それなら、死ぬまで運用でき、選択肢の広い新NISAに入れた方が良いかなと思っています。
まとめ
iDeCoの制度は、複雑で分かりにくいですが、それを活用するメリットは、大きいです。また、iDeCoを調べていくと、税の仕組みや退職金・年金のもらい方など、学びが多く、自分の無知さ加減を認識できます。iDeCoは、本当に人それぞれで、万人向けの最適解はないと感じていますが、私のケースが少しでも参考になればと思います。今回、紙面の都合で書ききれなかったことや、私の運用方法の見直し等ありましたら、別途、発信していきたいです。
本日のシニアの生きるコツ
iDeCoは人それぞれ。だからこそ、iDeCoの仕組みは、常に勉強しておこう!
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